【第96回】双子の誓い、「だから僕はゴルフをする」
2025年06月15日 公開今年5月に開催されたPGAツアーの大会、トゥルーイスト選手権で、オーストリア出身の32歳、セップ・ストラカが優勝した。 この大会は破格の賞金総額2000万ドルが授けられるシグネチャー・イベントの1つで、トッププレーヤーたちが集結していた。
生涯4度目の腰の手術から戦線復帰したタイガー・ウッズが昨年9月に復活優勝を遂げ、通算80勝目をマークして大いに盛り上がっているアメリカ・プロゴルフ界。2019年はウッズのさらなる優勝、そしてメジャー15勝目に期待が集まっている。
そんなウッズはもちろんのこと、華々しい舞台で戦う欧米ツアー選手たちの大半が、実は社会貢献活動に非常に熱心に取り組んでいることをご存じだろうか。
世界のトッププレーヤーたちは、なぜ社会貢献活動に力を入れるのか。「朝日新聞」「新潮社フォーサイト」「ALBA」「Number」など数々のメディアに連載を持つゴルフジャーナリストの舩越園子氏が、在米26年の見聞に基づき、その理由を解き明かしていく。
講師 舩越 園子
フリーライター
東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。
百貨店、広告代理店勤務を経て1989年にフリーライターとして独立。93年渡米。
在米ゴルフジャーナリストとして新聞、雑誌、ウエブサイト等への執筆に加え、講演やテレビ、ラジオにも活動の範囲を広げている。
『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。
アトランタ、フロリダ、NY、ロサンゼルスを経て、現在は日本が拠点。
今年5月に開催されたPGAツアーの大会、トゥルーイスト選手権で、オーストリア出身の32歳、セップ・ストラカが優勝した。 この大会は破格の賞金総額2000万ドルが授けられるシグネチャー・イベントの1つで、トッププレーヤーたちが集結していた。
今年4月に開催された米女子ツアー(LPGA)のJMイーグルLA選手権は、今季ルーキーの岩井明愛が優勝争いに絡み、日本のファンの期待を膨らませた。残念ながら岩井は初優勝には一打及ばず、勝利したのはスウェーデン出身のイングリッド・リンドブランドだった。
「第5のメジャー」と呼ばれているプレーヤーズ選手権は、PGAツアーが誇るフラッグシップ大会ゆえ、賞金総額はツアー最高額の2500万ドル。戦いの舞台となる米フロリダ州ポンテベドラビーチのTPCソーグラスは、水絡みのホールが多い上に、読みにくい風が吹き荒れ、最難関コースの1つに数えられる。
今年2月に開催されたPGAツアーのジェネシス招待は、タイガー・ウッズが大会ホストを務める「ウッズの大会」であり、賞金総額2000万ドルが授けられるシグネチャー・イベントの1つでもあった。
ハワイで開催されたPGAツアーの今季開幕戦、ザ・セントリーは、松山英樹が通算35アンダーという史上最多アンダーパー記録を樹立して通算11勝目を挙げ、日本のみならず世界のゴルフ界を沸かせた。
女子ツアー(米LPGA)の2024年のプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのは、米国出身のネリー・コルダだった。前年の2023年にプレーヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは、やはり米国出身のリリア・ヴで、彼女は2年連続の受賞を虎視眈々と狙っていたが、ポイント制で決まるこのアワードは、2024年は残念ながらヴではなく、コルダのものとなった。
世界のゴルフ界には、国や大陸、地域の名誉をかけて戦うチーム戦がある。1つは、米国と欧州が対戦するライダーカップ。もう1つは、米国と世界選抜(欧州以外)の対抗戦であるプレジデンツカップ。両者は1年ごとに交互に開催されている。
米国チームと世界選抜チームが国と地域の名誉をかけて競い合う2年に1度のチーム対抗戦、プレジデンツカップは、今年はカナダのロイヤル・モントリオール・ゴルフクラブで開催され、その際、世界選抜チームのキャプテンを務めたのは、カナダ出身の54歳、マイク・ウィアだった。
ローラ・デービスといえば、「豪快」「豪傑」といった枕言葉で語られ続けている女子ゴルフ界のレジェンドだ。大柄な体格。ドライバーを振れば、誰よりも飛び、絶大なる彼女の飛距離はゴルフファンを魅了した。
世の中がパリ五輪に沸いていた今年8月、ゴルフ界のレジェンド、プエルトリコ出身のチチ・ロドリゲスが、ひっそりと天国へ旅立った。PGAツアーで通算8勝を挙げたロドリゲスは8月8日に88歳で逝ってしまったが、そんなふうに「8」づくめで息を引き取ったところに、ツアー屈指のショーマンとして絶大なる人気を誇った「彼らしさ」を感じずにはいられなかった。
アメリカのPGAツアーのシニア部門であるチャンピオンズツアーに、パーキンソン病を抱えながらも出場し続けているチャレンジャーがいる。オーストラリア出身の53歳、ジョン・センデンという選手だ。
今年6月にノース・カロライナ州の名門パインハーストで開催された全米オープン最終日は、リブゴルフ選手のブライソン・デシャンボーと世界ランキング2位のローリー・マキロイの熱戦となり、米TV中継の視聴率は、この10年間で最高の数字を記録した。
1990年代の終わりごろ、米ゴルフ界で「天才少年」と呼ばれ、一世を風靡した選手がいた。彼の名は、ハンター・メイハン。1999年の全米ジュニアを弱冠17歳で制したときは、タイガー・ウッズに続く「ネクスト・タイガーでは?」と、ゴルフ関係者から熱視線を向けられていた。
今年4月。「マスターズ前週の大会」として開催されたPGAツアーのバレロ・テキサス・オープンで、22歳の米国人選手、アクシャイ・バティアが、初日から最終日まで首位を守り通して完全優勝を収めた。
今年2月に開催されたPGAツアーのメキシコ・オープンで、夢にまで見た初優勝を挙げたのは、29歳の米国人、ジェイク・ナップという新人選手だった。
PGAツアーで活躍中の33歳の米国人選手、マックス・ホーマをご存じだろうか。やや細めの体型で、あごひげが特徴的。優しそうな顔つきだが、彼のゴルフはとてもアグレッシブ。ガンガン攻めてバーディーやイーグルを奪い取るホーマのゴルフは、眺めているだけでも勇気と元気が沸いてくる。
PGAツアー選手のキーガン・ブラッドリーは現在37歳の米国人選手。これまでに通算6勝を挙げているが、ブラッドリーの名前が全米、いや世界に知れ渡ったのは、PGAツアーにデビューしたばかりのルーキーイヤーにいきなりメジャー大会を制覇した2011年の全米プロのときだった。
PGAツアーでは、古くから「Qスクール」というものが開催されている。これは、翌シーズンのツアー出場資格を得るための予選会である。
今年11月、PGAツアーの2023年シーズンを締め括るフェデックスカップ・フォールの大会、バターフィールド・バミューダ選手権で、コロンビア出身の41歳、カミロ・ビジェガスが9年ぶりの復活優勝を果たした。
ゴルフ界の「女王」、アニカ・ソレンスタムが「オーガスタ・ナショナルのメンバーになった」と米メディアによって報じられたのは、今年の10月末のことだった。