Can the Fetus feel pain?
胎児は痛みを感じることができますか?
国際疼痛学会(IASP)は、痛みを不快な感覚的および感情的な経験と定義しています。最近まで、新生児は痛みを感じることができないと考えられていました。今日、多くの医療機関は、胎児は24週から25週で痛みを感じることができると考えています。
胎児は「痛み」を感じるのか? ― 発達神経科学が解き明かす“生命の感覚”

「胎児はいつから痛みを感じるのか?」――長年議論されてきたこのテーマを、発達神経学と倫理の両面から掘り下げた解説動画です。
脳や神経の発達過程、痛み知覚に関わる脳構造、そして母体のストレスが胎児に及ぼす影響まで。科学的な知見とともに、医療現場での倫理的判断を考えさせられる内容となっています。
胎児の痛み ― いつから感じるのか?

国際疼痛学会(IASP)は痛みを「実際または潜在的な組織損傷に関連する、不快な感覚的・情動的体験」と定義しています。
かつては「新生児や胎児は痛みを感じない」と信じられていましたが、現在では24~25週頃から痛み刺激への生理的反応(心拍数や血圧の上昇)が確認されています。
30週頃には痛み処理に関わる脳領域の活動も見られることが報告されています。ただし、初期段階では大脳皮質や視床、脳幹などの接続が未発達であり、意識的な「痛みの知覚」は難しいとされています。
痛覚の“ネットワーク”と最新研究

痛みの感じ方は単一の部位ではなく、脳内ネットワーク全体で生じる「pain connectome(ペイン・コネクタム)」によるものと考えられています。
一部の研究では、胎児の神経経路が妊娠7〜12週頃から形成され始めるとの報告もありますが、28週以前に「痛み」を認識する可能性は低いという見方が主流です。このため、医学的には「胎児がいつ、どの程度痛みを感じるか」はまだ明確には定義できていません。
医療と倫理 ― 手術・中絶における配慮

胎児外科手術が必要な場合には、胎児自身に麻酔や鎮痛薬を直接投与するケースもあります。母体への薬剤投与だけでは、胎児の痛みやストレス反応を完全には抑えられないためです。
一方で、中絶手技における胎児の痛みへの配慮は倫理的にも繊細な問題です。妊娠初期(〜12週)では痛覚の有無が不確実であるため、胎児への鎮痛処置は通常行われません。
しかし、妊娠20週以降の処置では、母体への鎮静や抗不安薬投与が胎児にも一定の鎮痛効果をもたらすとされています。
母体の感情と胎児の反応

痛みは感覚だけでなく「情動」と密接に関係しています。母体が不安やストレスを感じると、コルチゾールなどのホルモンが胎盤を通じて胎児に届き、心拍数や運動の変化を引き起こすことが知られています。
母体の慢性的ストレスは胎児の神経発達や精神的健康に影響を及ぼす可能性も。
一方で、パートナーや周囲の支えがある女性はストレスレベルが低く、母子双方の健康に良い影響をもたらすという研究もあります。
「痛み」とは何か――その原点を問い直す動画です。
胎児の神経発達、母体のストレス、生理学的反応を通じて、生命の始まりにおける“感覚”の本質に迫ります。
周産期医療や小児科、倫理的意思決定に関わる医師にもぜひ見てほしい内容です。科学的根拠をもとに、感情と医学の境界を静かに見つめ直させてくれる一本です。
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