NEWS

2024.04.08 18:17:13

気管支ぜんそくの診断、血中の分泌物質検査で高精度に…阪大などのチームが実用化目指す

 血液に含まれる分泌物質内の「ガレクチン10」と呼ばれるたんぱく質が気管支ぜんそくの診断や進行の予測に活用できることを確認したと、大阪大などのチームが発表した。従来の診断方法より精度が高まるといい、数年後の実用化を目指すとしている。論文が国際医学誌に掲載された。

 気管支ぜんそくは空気の通り道である気管支が慢性的に炎症を繰り返すことで狭くなり、呼吸困難などの発作が生じる病気。世界保健機関(WHO)などによると、世界の患者数は2億6200万人、国内では推定で1000万人とされる。血中の白血球の一部「好酸球」の量などで診断しているが、肺の機能が低下する「慢性 閉塞へいそく 性肺疾患(COPD)」との区別が難しいなどの課題があった。

 阪大の武田吉人准教授らは、採血で得る血液中の分泌物質「エクソソーム(細胞外小胞)」が体内の情報を伝達している役割に着目。エクソソームを解析し、含まれる約3000種類のたんぱく質とぜんそくとの関連を調べた。

 その結果、炎症などに関わるたんぱく質のガレクチン10の量が増えると、ぜんそくの傾向が強いことを確認。診断の精度を調べると好酸球の73%に対して80%に高まったという。

 気管支ぜんそくに詳しい佐野博幸・近畿大教授の話「重要な研究だ。ガレクチン10の量に応じて適切な薬が選べるようになれば、治療の効率化につながる」

2024.04.04 18:06:15

男性育休取得率が都内で過去最高38・9%、期間も長期化…「産後パパ育休」制度が後押しか

 東京都内の事業所を対象に都が昨年行った従業員の育児休業に関する調査で、男性の育休取得率が38・9%に上り、2002年度の調査開始以来、最高を更新した。育休期間も前年度より長期化した。

 調査は昨年9月、都内2500事業所(従業員30人以上)とそこに勤務する男女5000人を対象に行い、622事業所と1133人から回答を得た。

 昨年3月までの1年間で配偶者が出産した男性は3116人で、このうち1212人が育休を取得した。取得率は前年(26・2%)から12・7ポイント上昇した。22年10月、子どもの出生後、8週間以内に父親が休みを最長4週間取得できる「産後パパ育休」制度が始まったことも取得率を押し上げたとみられる。

 取得期間は、「1か月以上3か月未満」(32・4%)が最多。次いで「3か月以上6か月未満」(14・4%)、「6か月以上1年未満」(11・7%)の順で多かった。前年も首位は「1か月以上3か月未満」だったが、2番目が「5日以上2週間未満」、3番目が「2週間以上1か月未満」で、取得期間が前年より延びる傾向がみられた。

 男性の育休取得の課題について、事業所と従業員それぞれに尋ねた質問(複数回答)では、労使ともに、「代替要員の確保が困難」が首位、「休業中の賃金補償」が2番目に多かった。ただ、3番目は、事業所の回答が「男性自身に育休を取る意識がない」だったのに対し、従業員は「職場がそのような雰囲気ではない」を挙げ、認識のずれがあることがわかった。

 都の担当者は「更なる育休取得率向上に向けて、引き続き育休を取りやすい職場環境作りを後押ししていきたい」としている。

2024.04.04 10:49:35

児童虐待の8割、性被害・DVの5割「相談しなかった」…警察庁「被害が潜在化の恐れ」

 児童虐待やドメスティックバイオレンス(DV)などの犯罪被害者の約4割が、警察や家族など誰にも相談をしていない実態が警察庁の調査でわかった。政府は犯罪被害者への支援を強化しており、警察庁は有識者検討会を設けて、対策の見直しを議論している。

 調査は、第4次犯罪被害者等基本計画(2021~25年度)に基づき、被害者が置かれた状況把握のために行われ、インターネットを通じて20歳以上の当事者819人から回答を得た。

 警察庁によると、被害に遭った際に「相談しなかった」人は、児童虐待で84%、性被害で51%、DVで51%に上った。ストーカー行為や交通事故、財産被害などを含む全体では44%だった。

 相談しなかった理由は「相談先がわからなかった」「何もしてくれないと思った」などが多かった。

 一方、被害者の80%は犯罪被害者等給付金や自治体からの見舞金などを受けていなかった。加害者側と損害賠償に関する訴訟や交渉などを行っていない人が88%で、加害者から賠償を受けた人は3%だった。

 警察庁の担当者は「被害が潜在化している恐れがあり、相談窓口の周知を図りたい」としている。

61

投稿はありません