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2024.10.29 11:49:09

医療費が月1000万円以上は延べ2156人、9年連続で過去最多…高額な新薬の利用広がる

 1か月の医療費が1000万円以上かかった人は2023年度に延べ2156人となり、9年連続で過去最多を更新したとする調査結果を健康保険組合連合会(健保連)が発表した。前年度比20%増で、過去10年で約7倍に増加している。

 大企業の社員や家族ら計約2800万人が加入する各健保の診療報酬明細書(レセプト)を基に医療費を分析した。

 月額1000万円以上の医療費がかかった人は、14年度(延べ300人)以降、増加し続けている。23年度の最高額は1億7815万円で、14人が1億円を超えていた。いずれも全身の筋力が徐々に衰える難病「脊髄性筋 萎縮いしゅく 症」の患者で、薬価(公定価格)が約1億6708万円の治療薬ゾルゲンスマを使用していた。

 医療費が高額となった上位100位までの主な疾患を過去10年間で比較すると、14年度は心臓病などの循環器系疾患や血友病が7割に上ったのに対し、23年度はがんが同程度を占めた。近年は白血病やリンパ腫などの高額な新薬に公的医療保険が認められ、使用が広がっていることが要因という。

 患者の自己負担は、高額な治療を受けた場合でも、高額療養費制度などを利用すると月に数十万円以下に軽減されることが多く、残りは各健保や健保連が負担する。

2024.10.29 11:39:22

「医師の働き方改革」で救急搬送の受け入れ困難「増えた」16%…外来診療や宿直も縮小

 今年4月から始まった「医師の働き方改革」に伴う勤務医の残業時間規制の影響で地域医療に生じている問題として、全国の医療機関の16%が「救急搬送の受け入れ困難事例の増加」を挙げたとする調査結果を日本医師会(日医)が発表した。11%は「自院の手術が減った」と答えるなど医師確保に支障が出ている実態が浮かび上がった。

 調査は8~9月、入院可能な有床診療所と病院の計1万4216施設を対象に実施し、4082施設から回答を得た(回答率28・7%)。

地域で実際に起きている問題点を尋ねたところ(複数回答可)、受け入れ困難事例が「救急搬送」(15・6%)、「専門的な診療科の紹介患者」(8・3%)、「母体搬送・ハイリスク妊婦」(2・1%)で増え、「医療圏域外への搬送」(7・5%)も増加していると答えた。

 自院への影響では「手術件数減少」(10・8%)、「外来診療体制の縮小」(5・3%)、「宿日直体制縮小・撤退」(5・2%)などが挙がった。大学病院などから医師の派遣を受ける2927医療機関では、21・6%が「宿日直の応援医師の確保が困難になっている」と回答した。

 調査を担当した 城守国斗きもりこくと ・常任理事は「働き方改革が地域医療に大きな影響を及ぼさないよう、今後も継続して調査する。医師の健康確保と医療の質の維持向上のバランスを取ることが重要だ」と話している。

2024.10.24 10:59:45

夏に流行する手足口病、季節外れの感染拡大…専門家「7月までと種類が変わった可能性」

 主に子どもの間で夏に流行する手足口病が季節外れの感染拡大を続けている。国立感染症研究所の発表によると、13日までの1週間に全国約3000の小児科定点医療機関から報告された患者数は、1医療機関あたり10・78人で、同時期では過去最多となった。

 感染研によると、例年は7月下旬頃に流行のピークを迎える。今年は7月8~14日に、過去最多の2019年の13・44人に迫る13・34人となった後、減少していたが、8月中旬から再び増加傾向になっていた。都道府県別では、愛媛県が28・25人で最も多く、山形県が26・61人、富山県が25・25人で続き、41都府県で警報基準の5人を超えた。

 手足口病は、 飛沫ひまつ などに含まれるウイルスに感染することで、手足や口の中に発疹ができる。患者は2歳以下の幼児が半数を占め、多くは軽症だが、まれに脳炎などの合併症を起こす。ワクチンや治療薬はなく、せっけんを使ったこまめな手洗いが予防に効果的だ。

長崎大の森内浩幸教授(小児科)は「現在流行中のウイルスは、7月までのものと種類が変わった可能性がある。過去にかかった人でも2度目の感染に注意を」と呼びかけている。

2024.10.24 10:54:35

心臓移植、「余命1か月以内・60歳未満」最優先に…厚労省が患者の選定基準見直しへ

 厚生労働省は23日、脳死者から提供された心臓の移植を受ける患者の選定基準を見直し、余命が1か月と予測される60歳未満の患者を最優先とする方針を決めた。待機中に病状が悪化して亡くなるケースを減らす狙いがある。同日の臓器移植委員会で、提案が了承された。来年にも運用が始まる見通しだ。

 脳死者から提供された臓器の移植については、日本臓器移植ネットワーク(JOT)が心臓、肺、肝臓、 膵臓すいぞう 、小腸、腎臓の6臓器ごとに決められた基準を踏まえて、移植を待つ患者の優先順位を決定。上位から、患者が登録する移植施設に臓器の受け入れを要請する。

 心臓の現行基準は、待機期間が長い患者が移植を受けやすくなっている。これに対し、日本心臓移植学会などが救命のため緊急性の高い患者を優先するよう要望。厚労省は「緊急に心臓移植を行わないと短期に死亡が予測される病態で、余命1か月以内の60歳未満の患者」を最優先とする案をまとめた。

 小腸などの基準も見直す。小腸では、臓器提供者が18歳未満の場合に、18歳未満の患者の優先度を高め、体格に合ったあっせんをスムーズに行えるようにする。別の病気で治療中などの理由で当面、移植を受けられない患者を一時的にあっせん対象から外す仕組みも設ける。

 さらに、肝臓、小腸、膵臓の3臓器同時移植も、条件付きで認める。

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