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2025.01.10 13:51:47

介護事業者の倒産最多、人手不足や物価高騰・報酬改定で…小規模なほど経営苦しく

 2024年に倒産した介護事業者は計172社に上り、介護保険制度が始まった00年以降で最多となったことが9日、東京商工リサーチ(東京)の調査でわかった。人手不足や物価高騰に加え、24年度の介護報酬改定で一部サービスの公定価格が引き下げられたことが影響したとみられる。

 負債額1000万円以上の倒産を同社が集計した。サービスの種類では、ヘルパーが高齢者の自宅で入浴介助や調理などを行う訪問介護が81社と約半数を占めた。デイサービスやショートステイ(短期入所)は56社、有料老人ホームは18社、ほかに認知症グループホームなどで17社だった。

 訪問介護を巡っては、厚生労働省が24年度の報酬改定で、ヘルパーの賃上げ分を事業所に支給する「処遇改善加算」を増額した一方、光熱水費などの運営費に充てる単価を引き下げた。

 規模別でみると、約8割は従業員数10人未満の事業者で、小規模なほど経営が苦しい実態が浮かぶ。同社の後藤賢治課長は「地方の介護は、規模の比較的小さい事業者で支えられている。サービスの空白地域を作らないためにも、国は事業者同士の協働化や再編を後押しする必要がある」と話す。

 厚労省の調査(23年10月現在)では、全国で介護サービスを行う事業所は、訪問介護は3万6905か所、デイサービスは2万4577か所ある。事業者が倒産したとしても、他の事業者が代わりにサービスを提供できることから利用者への影響は限定的とみられる。

2025.01.09 18:39:25

最大30億円規模の「万博ファンド」、パソナが創設へ…万博後も見据え健康ビジネス支援

 人材サービス大手のパソナグループが、4月に開幕する大阪・関西万博に合わせ、心身の健康につながる事業の創出や起業を支援する最大30億円規模のファンドを創設することがわかった。「いのち」がテーマの万博で得られた成果をレガシー(遺産)として受け継ぎ、新たなビジネスにつなげる担い手を発掘したい考えだ。

 南部靖之代表が読売新聞の取材に明らかにした。南部氏は「万博後に事業を創出し、日本経済の活性化につなげたい」と狙いを語った。

 万博が開幕する4月13日に、社内ファンドとして始動させる。約50の個人・団体を対象に出資などを行う。

 パソナは、〈1〉からだ(医療や睡眠)〈2〉こころ(芸術やスポーツ)〈3〉きずな(孤立対策や地域の絆作り)――の三つのテーマで、事業のアイデアを募るコンテストを行っている。2月10日まで募集し、優れたアイデアは、万博で出展する自社のパビリオンなどで展示する計画だ。アイデアの事業化に向け、新たにファンドが必要と判断した。

 パソナのパビリオンは医療・健康がテーマで、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った「iPS心臓」などを展示する。パソナは万博を機に、「ウェルビーイング」(心身が健康で幸福な状態)関連の事業に進出する方針で、支援を通じ協業先を探す狙いもある。

2025.01.08 17:25:34

大腸がんの肝臓転移、国内未承認の治療薬が効く可能性…医薬基盤・健康・栄養研究所など研究成果

 大腸がんの肝臓への転移に対して、国内では未承認の悪性リンパ腫の治療薬が効く可能性があることを、マウスを使った実験で突き止めたと医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府)などの研究チームが発表した。論文が国際科学誌に掲載された。

 この薬は、悪性リンパ腫の薬としてドイツ製薬・化学大手バイエルが開発し、米国、台湾、中国で承認を得て販売している「コパンリシブ」。大腸がんの薬にはなっていない。

 国内の大腸がんによる死者は年間約5万人で、うち半数以上が肝転移によって死に至ったとされる。肝転移には切除手術が最も有効だが、5年以内に7~8割が再発している。

 同研究所創薬デザイン研究センターの足立淳・副センター長らは、大腸がんの患者のうち、肝転移した腫瘍を摘出後、抗がん剤治療中に肝臓にがんが再発した悪性度の高い症例に着目。採取した腫瘍の組織を網羅的に調べた。

 抗がん剤治療の前後の腫瘍を比較したところ、再発した腫瘍で特定のたんぱく質が活性化していることが判明。このたんぱく質の働きを抑えられそうな薬剤の候補が、コパンリシブを含めて五つ見つかった。

 コパンリシブを、肝転移の病巣に見られる悪性度の高い細胞や、この細胞と同じ特徴を持つ腫瘍が体内にあるマウスに投与すると、いずれもがん細胞の増殖が抑えられた。

 足立副センター長は「研究成果が、大腸がんでの治験の実施や新薬の開発につながれば」と話す。

 東京大医科学研究所病院の朴成和教授(腫瘍内科)の話「今回の研究は、がん細胞内で働いているたんぱく質から新薬候補を見つけ出した点がポイントだ。効く患者を見定め、効果的に治療できるようになることが期待できる」

2025.01.08 17:21:15

武装住民が略奪、イスラエル軍が物資輸送車に攻撃…ガザの病院の燃料が底をつく

 【エルサレム=浅野友美】イスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘を巡り、パレスチナ自治区ガザの保健当局は7日、貯蔵していた病院の燃料が底をついたとして緊急の声明を発表した。酸素ステーションや医薬品用の冷蔵庫などに影響しているといい、人道状況の悪化が顕著となっている。

 イスラエルによる攻勢は続いており、ロイター通信によると、ガザでは7日、イスラエル軍の攻撃で少なくとも24人が死亡した。

 人道問題担当のトム・フレッチャー国連事務次長は6日、支援物資の輸送車列に対するイスラエル軍の度重なる攻撃や、武装した住民による燃料の略奪を例に挙げ、ガザでの人道支援活動が「限界に達している」との声明を発表していた。

 世界食糧計画(WFP)も6日、車列が5日にイスラエル軍に銃撃されたとして非難した。けが人はなかったが、車両3台に少なくとも計16発の銃弾が撃ち込まれ、走行不能となった。

 アラブ首長国連邦(UAE)外務省によると、アブドラ・ビン・ザイド外相は7日、UAEを訪問したイスラエルのギデオン・サール外相と会談し、ガザでの停戦に加え、深まる人道危機を主要議題として意見を交わした。

2025.01.07 19:18:54

コンビニで薬剤師不在でも薬購入可能に…厚労省方針、オンライン説明が条件

 厚生労働省は、コンビニエンスストアなど薬剤師や登録販売者がいない店舗でも、一般用医薬品(市販薬)を購入できるようにする方針を決めた。薬剤師らからオンラインで説明を受けることを条件とする。時間を問わず、身近な場所での購入が可能となる。

 厚労省は、24日に召集される通常国会で医薬品医療機器法(薬機法)改正案の提出を目指す。

 市販薬は、医師の処方箋なしで購入できるが、薬剤師らによる情報提供や相談対応が必要とされている。現行のルールでは、薬剤師らが常駐しない店舗では、市販薬は取り扱えない。

 新しい仕組みでは、患者はまず、自宅などで薬剤師らとオンラインで面談し、必要な説明を受けたことを示す確認証をメールなどで受け取る。その後、スマートフォン上の確認証を店舗で示し、薬を購入する。自動販売機での購入も可能となる方向だ。

 販売する店舗は薬局やドラッグストアと連携する。連携先の薬局などが薬の在庫の把握やオンラインの面談を担う。当面の間、店舗と同一の都道府県内となる見通しだ。

 デジタル技術の進展で薬剤師らがその場にいなくても遠隔で対応できるようになったことから、厚労省は新しい仕組みを導入する。

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